2001.12.24
Xmas`02
天気予報では、雨かもって言われてたクリスマスイブ。
幸い、なんとか持ってくれそう。
実に久しぶりの、レストランFでの夜のディナー演奏。
ま、当然よね(笑)
Xmasとしては、当たり前なんだけど一年ぶり。
22日の夜、ブライダルが入ったから、お店に行くのは1日ぶりなんだけど。
やっぱりブライダルとディナーは、曲目が違う。
ここぞという大きなBGMはないし、自分で時計を見ながら、曲を選んで組み立てるだけ。
お客さんの雰囲気もあるよね。
年齢層、ファミリーかカップルか、なんかで、やっぱり選ぶ曲が違う。
それがまた楽しいんだ…(*^_^*)
何キロある?っていうくらいの重いバッグを抱えて、電車で向かう。
昼間なら自転車で30分かけて向かうんだけど、寒いし、夜だしね。
お店に着き、肩ひもの黒のロングドレスに着替える。
薄いショールを肩にかけ、いざ出陣!(*^_^*)

17:00のお店は、まだまだディナーには少し早い。
でも各テーブルにキャンドルが揺らめき、スポットライトに浮かび上がったピアノは最高の雰囲気。
センターでは初老のご夫婦が、今ワインを手にしたところ。
今日1番目のお客さんだから、ご挨拶してこよう。
『何かリクエストがございましたら、演奏させていただきますが…?』
近寄って話しかけると、ますますすてきな感じ。
いいなあ、こういうご夫婦。
『そうですねぇ…』 男性が笑顔で答えてくれた。
『それだったら、ドビュッシーの「月の光」をお願いします。』
『…。』一瞬、笑顔が引きつっちゃったけど、すぐ立ち直って答えた。
『がんばらせていただきます。それではどうぞごゆっくり。』
まいったなあ。クラシックのリクエスト、苦手なんだよねぇ(^^ゞ
ポピュラーなら、自分なりにアレンジできるけど、クラシックはそうはいかない。
でも、昔よく弾いた曲だし、なんとかなるでしょ。いえ、何とかする。
指馴らしに、クリスマスソングのバラードから始める。
おっと、スタッフのある女の子にもらったリクエストを弾いてあげよう。
『テンダリー』これなら、緊張しないから大丈夫でしょう…。
3分くらい、私なりに演奏してあげると、その女の子、私に向かって深々とおじぎをしてくれた。
いいよお…そんな(*^_^*)
さあて。 まず『間奏曲』でちょっと息を整えて。
いよいよ、楽譜を開き、『月の光』。
昔、先生に習った時のことが、鮮明によみがえる。
ペダル、フレージング、指使い。
先生の書き込みが、なんだか懐かしい。
ポピュラーっぽくはなったけど、なんとか無事にドビュッシーを弾き終えられた。
センターのご夫婦から、遠慮がちな拍手をいただいた。
ふぅ…やっぱり大きくため息(^^ゞ
ドビュッシーの少し前に、ピアノのすぐ近くに座ったカップルの、男性の方から、またリクエストをいただいた。
『テネシー・ワルツ』? これなら大丈夫だ。
楽譜はなかったけど、曲を思い出しながら、ゆったりと弾いた。
しばらく演奏してるうちに、また少しずつお客様が増えた。
少し離れた席からのリクエストを、スタッフの女の子が、メモにして持ってきてくれる。
リクエストがもらえる日って、とても気持ちがいいよね。
そんな風にして、あっという間に1時間が過ぎ、ショータイムの時間になり、私はピアノを終えた。
リクエストを下さったお客様に、一言ずつお礼を言って来て、少し休憩。

今日は、お店側のショータイムとして、ソプラノとバリトンのカップルとピアノが用意されていた。
なんでも、オーナーのお知り合いの女性がピアノを弾く人で、その息子さんと彼女が、歌い手らしい。
オペラのアリアからクリスマスソング、それにピアノソロを少しという、40分くらいのステージだった。
どんな曲を演奏するのか知らなかったから、ちょっとかぶっちゃったけど、大丈夫かな…。
まあ、弾き手が違うから、そんなに問題ないでしょ。
私のピアノソロとは雰囲気が違うショーだから、お客様もきっと、楽しんでくれただろうと思うし。
実際のところは。
ほんとは、ちょっとやりづらいのよね…こういうの(^^ゞ
全く畑違いの、例えばマジックショーとかなら、お互いに問題はないんだけどね。
でも、オーナーが用意したショーなら、それは仕方ない。
…なあんてね。 これは私の胸のうちだけの声なんだ。
ショーは2回用意されてて、間にも私の演奏を入れた。
2回目のショーが終わってから、ほんの少し、BGMを流してもらって、私の最後のステージになった。

あと、なにを弾こうかなあ…。 最初の『The Christmas Song』を弾きながら、考える。
トータルで2時間弾いたけど、お客さんは入れ替わってるしね。
やっぱり好きなジャズと映画音楽を入れて、ポピュラーとクリスマスソングを混ぜて、それで組み立てちゃおう。
ディナータイムの、キャンドルとライトの下には、ジャズや映画音楽がとても似合う。
カップルやファミリーのために、最高のクリスマスイブにしてあげたい。
HPにもUPしてる、大好きなレパートリーをたくさん弾いた。
バラードやアップテンポの曲を混ぜながら、バラエティ豊かに弾いたつもり。
昔、ブライダルのお仕事をしたカップルも来たりして、懐かしい顔も見ながら、とても充実して弾いていた。
そろそろ疲れたなあ…なんて思って、最後、クリスマスソングでしめることにした。
弟の結婚式でも演奏した『星に願いを』の華やかバージョンを弾いて。
最後に『ホワイト・クリスマス』を弾いた。
支配人に合図をし、BGMがフェイドインするのを待って、ペダルから足を離す。
ふぅ…と息をつく。 深呼吸して、時計を見てびっくり。
気合が入ってたとはいえ、2時間以上弾いてたわけ? ほんとにびっくり。
道理で、疲れたわけだわ(^^ゞ
ピアノを長時間弾くとね、どこが痛くなると思う?
まずは、当然なんだけど、両手の指先。
かなり強い音で弾き続けるから、指先をドアなんかで挟んだ時のような、うっ血の痕が見られるのよ。
もちろん、すごく痛い(^^ゞ
その次に痛くなるのが、右足首。
ずっとペダルに足を乗せて、踏んだりはずしたり上下運動をしてるもんだから、足首がすごく痛くなる。
もちろん、足が痛くなるということは、腰が痛くなり、肩が痛くなり、ってことで…。
気がつくと、目もずいぶん疲れてる…(^^ゞ
ピアノ演奏って、全身運動なんだな、って、ほんとに思う。
17:00からのお仕事が、終わったのが22:40くらい。
今年も無事に終わってよかったあ…。
演奏前って、どうも食事をする気になれないのね。
なので、この日の昼食が14:00くらい。
片づけて着替えて、レストランを後にしたのが23:00くらい。
銀杏並木が続く大学通りは、ニュースにも取り上げられるくらいのきれいな場所。
春には桜がいっせいに咲き乱れ、街中がお花見スポットになるところ。
駅の近くに来ると、銀杏の木が大きなクリスマスツリーにイルミネーションされて、すごくきれい。
年々、ここも華やかになるみたいね。
もう『祭りの後』の寒々しさが、そこここに漂ってるけど、それでもまだまだ空気はそのまま。
肩にずっしり来るバッグを提げて、寒い通りを歩くのも、なんだかちょっといい。
まだ気持ちが高揚してるからかも。
今年も、いろんな人と過ごしたクリスマスイブだった。

2002.5.02
ほんとに久しぶりに
昨年の3月にリトミック教室Toy Boxをいったん閉めてから、1年が過ぎていた。
リトミックはなくなったけど、娘の学校のボランティアに参加していたから、子供との関わりは相変わらず続いていた。
その間、単発の仕事として、昨年も引き受けたH児童館の親子サークルの指導をした。
(よければ、'01の「広い広い体育館」を見てね)
1年経っているから、大きい子はみんな、幼稚園に入ってしまっていた。
私も、30組以上いる親子さんを、覚えることなんてとてもできなくて。
でも、とあるお母さんが「去年も参加しました!」と声をかけてくれた。
去年のお子さんは幼稚園に入ったけど、今年は下の子を連れてきたという。
広い場所でのリトミックは、相変わらず、意識を集中させるのが大変。
でも初めての時より、私も場所や人数に慣れて、落ちついてできた気がする。
ピンマイクを用意してもらっていたんだけど、リトミックってかなり動き回ったり走ったりするのね。
スピーカー近くに寄ってしまって、思いっきりハウリングを起こし、即座にスイッチを切った。
地声で十分通るもの。

あまりにも小さい子が多すぎて、レッスン予定を端折って、少し早めに切り上げた。
1〜2歳児って、集中も持たないけど、我慢もできない子がいるのよね。
このくらいの集中ができなかったら、幼稚園に入って先生に迷惑かけるぞ…って思うけど(^^ゞ
半分以上の子がざわついてきたら、もうおしまいね。
レッスン後、さっきの経験者のお母さんが話しかけて来た。
「今日、ウサギとか変身とか、なかったですね? 楽しみだったんですけど…(*^_^*)」
正直、驚いた。
だって、1年前の、たった1回のレッスンよ?
そんなに印象に残っていてくれたんだろうか…嬉しいな。
「やりたかったんです! 実は。 でも、子供たちがざわついてきたんで、やめちゃいました(^^ゞ」
思わず、そのお母さんに向かって、苦笑した。
「でも、よく覚えてましたねぇ…」
実は、と、そのお母さんが言った。
去年参加した○○ちゃん(名前覚えてなかったんだけどね)が、たった1回のレッスンを、ものすごく楽しんでくれたらしい。
ことのほか、その「動物変身」が好きで、おうちでも突然、やることがあったそうだ。
これは、「動物園に行こう!」というプログラムで、バスに乗って動物園にやってきて、そこで歩いていて、ピアノのメロディとともにいろんな動物に変身する。(グリッサンドが「変身!」のテーマなの)
それで、ウサギになって耳をつけて跳んだり、クマになって手を広げて歩いたり、ペンギンになってヨチヨチ歩いたりと、ピアノのメロディに合わせて、いろんな動きをする。
時々、音を止めてストップモーションをさせたり、メロディの高低で動き方を変えたりと、いろいろバリエーションが楽しめ、子供も大人も楽しむことができるプログラムなのね。
たった一度のレッスンのそのフレーズを、そのお子さんが覚えててくれて、お母さんとの散歩の時にいろんな動物に変身しながら歩いたりする、と、そのお母さんは嬉しそうに話してくれた。
これが、子供を教える醍醐味だな…って、思った。
そんな難しいことは教えられないけど、歌った歌、ピアノで弾いたメロディを、繰り返し楽しんでくれるなんて、教師冥利に尽きるよね。
児童館の今年の担当スタッフさんも、その話を興味深く聞いてくれて、一緒に喜んでくれた。
(やはり小学生のお母さんだそうだ)
「何人か集まったら、サークルとして教室を開くことができるんですよね?」
Yさんというその担当さんは、サークルのお母さんたちを誘ってくれると約束してくれた。

数ヶ月前、市民リーダーで、リトミック講師を探しているという問い合わせ電話があった。
私がずっとToy Boxで活動していた公民館で、育児サークルを主催しているSさんというお母さんだった。
今のメンバー達で、遊ぶだけじゃなくリトミックもしてみたい、という声があがったらしく、それで講師を探していたそうだ。
そのサークルには登録メンバーが10組くらいいて、まずはお試しでレッスンを受けたいという意見がまとまり、4月30日にリトミックのレッスンをすることになった。
風邪がまだ治りきっていなくて、前日まで、ものすごいガラガラ声だったんだけど、最初のレッスンを休むわけにもいかないしね。(それも熱とかじゃなく、声、程度じゃあね)
小雨の降る中、公民館に行ってみると、12組のうち9組の親子が集まってくれていた。
小さい子も多い…どうしよう。 ま、仕方ない、やるしかないよね。
歌を歌ったり、リズムに合わせて体を動かしたりと、いつものレッスンを始めた。
1人2人、参加するのが嫌で、端っこにいって遊んでいる子もいたけど、その他の子供たち、驚くほど一生けんめい参加してくれた。
まだお話も片言の男の子が、なんだかとても楽しそうに、私のあとをくっついて動き回ったり、グーチョキパーの手がうまくできない女の子が、手遊びを真剣にがんばっていたり。
お母さん達の反応も、ものすごくよかったのね。
歌も大きい声で歌ったり、私が動く通りに、多少照れながらも真剣に参加してくれたりで。
私のレッスン、親子で体を動かすレッスンだから、お母さんの協力が、ものすごく大事なの。
お母さんが楽しんでいると、子供も嬉しくなって参加してくれるし。
プログラムが終わるたびに「すごいねえ!みんな。1回ですぐ覚えたね!」なんて声をかけたくなるほど、粒ぞろいの気持ちのいい生徒さんたちだった。
またその公民館での、定期的なレッスン、また再開することになるかもしれなくて、本当に嬉しかった。

今日、H児童館のYさんから電話があった。
いくつかある親子サークルの中で、2ヶ月に1度でもいいから、ある程度定期的に、リトミックのレッスンをしてほしいという声が上がったという。
Yさん、ほんとに勧誘してくれたのね…ありがとう。
私がやるリトミックは、単発のレッスンでも十分楽しめるけど、定期的に続けた方が、やってる内容も子供たちもお母さんも覚えて、より楽しんでできることは確かだもの。
まだはっきりしたことは決まっていないけど、またリトミックの道が開けることになったみたい。
子供たちと関わるのは、パワーがいる仕事だけど、その分、喜びもパワーも子供たちに返してもらえる。
真剣に関わらないと、子供も真剣に関わってくれない。
だからこそ、反応がすぐわかるから怖いけどやりがいもある。
これからがんばらなきゃね、と、心に思った。
郵便局に出かけて、ついおととい、公民館で会ったコウちゃん親子と会った。(私のあとをくっついてきた男の子)
最初は戸惑ったようだったけど、思い出したのか、ニコー!とはりついて来てくれた。
片言ながら、とてもよくお話してくれて、私も楽しかった。
順番で窓口に並んだ私に、「しぇんしぇい!」と言いながら、駆け寄ってきたコウちゃん。
お母さんが初めて聞いた「先生」という単語だったそうだ。
コウちゃんの生まれて初めての「先生」になった気分は、なんともいえず幸せだった。
うん、「しぇんしぇい」、がんばるね!