「僕からのプレゼントだよ。 …その…メッセージというか、僕の気持ちをこめて…」 少女の不思議そうな顔が、みるみるうちに赤く染まりました。
今にも泣き出しそうな少女に、若者はうろたえました。 なにか言おうとする若者の腕をとった少女は、 黙って自分の部屋に案内しました。
部屋のドアを開けたとたん、若者は驚いて立ち止まりました。 テーブルいっぱいに、美しいチューリップが飾ってあったからです。 若者は、真っ赤になってうつむいた少女と、テーブルの上の花を見比べて 不思議そうな顔をしました。 「…これも…チューリップ…?」 「…あのね…私からの、お返事です。私の気持ちをこめて…飾っておいたの」 若者の顔が、みるみる明るくなりました。 「じゃあ…それじゃあ!」 「ええ、ありがとう。ほんとに嬉しいわ…」 にっこり笑おうとした少女のほおを、喜びの涙が、ひとすじ伝いました。
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